「ツーカとゼーキン」明石 順平著(インターナショナル新書)を読んで
副題に“知りたくなかった日本の未来”とあります。2020年4月11日に初版された本書は日本の財政状況が「極端なインフレ」を招くことを指摘しており、p4に「日本の財政再建はもう絶対に不可能」と言い切っています。
この本では、まず通貨の成り立ちを述べ、通貨の借金のしくみを取り上げ、国債と通貨の関係を説明し、アベノミクスにより財政再建の分岐点から逸脱したことを述べています。そして、極端なインフレ後の新たな時代に高齢化を配慮すると消費税率を増やすなど税金の見方を変えるべきだと述べています。
極端なインフレについては浅井 隆氏や藤巻 健史氏が前々から主張しております。それに加えて、「ドル化とは何か」土田 陽介著(ちくま新書2019年10月10初版)でも警告されています。藤巻氏も既に極端なインフレは避けられずインフレ後の新たな中央銀行による新通貨発行により経済の急回復を期待しています。その辺は明石氏と考え方が似ているかもしれません。土田氏は海外の事例を元に極端なインフレが起こると日本で米ドルの流通が増え経済回復がままならなくなるのではと主張しています。
さて、この極端なインフレを個々人がどうすれば乗り越えられるかについては、明石氏は答えていません。浅井氏は金(きん)や米ドル、藤巻氏は米ドル資産、土田氏は間接的に米ドル札を持つことを示唆しています。
当方は、それらに加えて物財を持つことも良いのではないかと思っています。また、円(国)の信用不安による下落により相対的に民間の資産である株も上がるのではないかと思っています。これは既に進んでおり、新型コロナ下の国からの財政支出がここのところの株高に反映されているものと思っています。円安が進まないのは外国の財政支出もあり相殺されていることがあるのだと思っています。結局のところ相場を見ながら外貨貯金または外貨MMF、米ドル札、物に関する投資信託、日本株の投資信託をバランス良く投資し資産防衛するのが吉かと思います。今は円高が進んでいるように思われますので米ドル関連に重点を置くべきかと思います。
なお、明石氏はp174日本国債の下落の際に日本国が所有する米ドル債の売却による円高の可能性の言及、藤巻氏は極端なインフレの際に経済混乱が起き株の下落を予測しているなど不確定要素もあるので投資は自己責任でお願いします。
あと、この本で興味を引いたことは、p246に
みんなが兌換紙幣を持って硬貨と引き換えにくるわけではないので、保有している硬貨よりもたくさんの兌換紙幣が発行されます。
と兌換(だかん)紙幣といえども全発行額が硬貨に換わるわけではないことが分かり驚いているところです。
また、p67に銀行預金について
みんなが一気にお金を引き出すわけではないので、本当に保有しているお金よりも、たくさんのお金を貸すことが可能であり、その分預金が増える。こうやって貸し付けによって預金が増えていく仕組みを、信用創造という。
と、信用創造の仕組みを知ることが出来ました。
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