「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を見て
令和2年12月25日に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が経済産業省を中心にして策定されました。当方には画餅のように思えてなりません。特に14分野毎の実行計画はエネルギーの由来やら困難なものやらが多くとても効率的で実現可能なものとは思えません。14分野毎に当方から見た問題点を指摘しておきたいと思います。
1,洋上風力産業17~19ページにありますが、どの程度のライフサイクルアセスメントが見込まれるのか不明です。洋上では潮風も吹くため修理・修繕時期が狭まるものと思われます。
2,燃料アンモニア産業20~22ページ、二酸化炭素(CO2)が発生しないとしていますがアンモニアの産出方法が不明確です。Wikiで調べると結局、炭化水素(石油や天然ガス)から生成するようです。残った炭素はどの様な形になるのか不明です。結局二酸化炭素として放出されるようでは意味がありません。
3,水素産業23~25ページ、生成の仕方は水電解または光触媒、高温ガス炉(原子力)のようです。水電解では結局電気エネルギーからの転換にすぎず転換するたびに熱エネルギーとして損失することを考えれば積極的に水素エネルギーに転換する意味はあまりありません。光触媒は植物の光合成や太陽光発電に比べどれだけの効率が見込めるのでしょうか。高温ガス炉については次段落で書きたいと思います。これに加え、鉄の生産を石炭から水素にシフトすることも述べられています。化学的には可能性はあるものの本当にこれを進めて鉄の代替材であるコンクリートや木材との土俵に乗るのかは疑問です。
4,原子力産業26~28ページ、高温ガス炉による水素製造については、水を高温高圧にして水素製造を行うものと思われます。福島第一発電所の水素爆発を思い出してください。それは、人間の制御外で起こったことですが原子力により水素を取り出すことが可能な一例です。これを人間の制御内で行うことを目論んだものです。つまり、冷却剤に不活性なヘリウムを用いており、安全性は見込まれるもののヘリウムを大量に利用することは難しく、はたして上手くいくのか疑問なところです。
5,自動車・蓄電池産業29~31ページ、そもそも自動車を電気で動かすことは電気がカーボンニュートラルであってこそ成り立つものです。電気は何だかよく分からない再生可能エネルギーが見込めてこそ成り立つものです。さらに、化石燃料も利用するものの二酸化炭素(CO2)回収が前提となっています。そんなに、見込みのあやふやな電力頼みの自動車にしてはたして良いものか考え物です。
6,半導体・情報通信産業32~35ページ、特に述べることはありません。
7,船舶産業36~38ページ、まず、船舶を電気で動かすには自動車同様電気がカーボンニュートラルであって成り立つものです。次に水素やアンモニア燃料とすることも水素やアンモニアがカーボンニュートラルであってこそ成り立つものです。LNG(液化天然ガス)化についても推進することとなっていますが天然ガスは炭化水素なので幾ばくかの二酸化炭素を排出します。
8,物流・人流・土木インフラ産業39~42ページ、ディーゼルエンジンに替わる革新的建設機械(電動、水素、バイオ等)の普及促進をあげていますがこれもバイオ燃料以外は電気、水素がカーボンニュートラルであってこそ成り立つものです。また、ディーゼルエンジンに替わるエンジンの開発が2050年までに開発可能でしょうか?
9,食料・農林水産業43~45ページ、農林業機械の電化技術が必要。また、漁船の電化についても自動車や建設機械と同じことが言えると思います。
10,航空機産業46~49ページ、電動化や水素航空機については自動車等と同じことが言えるほか充電池や水素燃料タンクの軽量化が必須と思われ2050年までに遠距離航空機の実現することは難しいものと思われます。また、バイオジェット燃料は実現可能かもしれませんがバイオマスの直接燃焼に比べて高コストになり導入は難しいのではと思われます。
11,カーボンリサイクル産業50~53ページ、色々検討されていますが課題解決の目処は立たないものと思われます。二酸化炭素吸収コンクリートは鉄骨が錆びやすく。藻類の培養によるバイオ燃料は二酸化炭素の吸収効率が低く。光触媒によるプラスチックでは用途の競合する紙に勝てないのではないでしょうか。二酸化炭素の分離回収設備は物理的及び化学的な手法が用いられているようです。実用化されているとのことですが建設・稼働にかかるエネルギーが必要でありこれが示されていません。
12,住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業54~56ページ、住宅・建築産業ではゼロエネルギー住宅・建築物をうたっているが太陽光発電が上手くゆかねば成立しない話となります。次世代型太陽電池が上手くゆかないと目的を達成できないらしく課題として効率・耐久性・コスト等となっているが、課題がどれほどのものかよく分からないのです。光合成(バイオマス)は広く薄くあるエネルギーで収集コストが大きいと言われていますがエネルギーの貯蔵性や光からの変換効率の面では有利ではないかと思います。光合成との比較検討が必要と感じますがそう言ったものは見たことがないので何ともです。
13,資源循環関連産業57~59ページ、バイオマスプラスチックへの代替促進については食料と競合してしまう面があると思います。メタン発酵によるバイオガス化技術については過去から随分研究されているのに大規模化が課題としているようです。本当に大規模化で課題解決するのでしょうか。
14,ライフスタイル関連産業60~62ページ、これまでの13分野が成り立ってはじめてライフスタイル関連産業の振興が進むものと思われますが、これまで述べたように2050までに対応が難しい課題は山積していますのでこれも難しいように思えます。
結局、エネルギー産業としてアンモニア利用、水素利用、電化が重要なキーとなりますがアンモニアは化石燃料由来で、水素に関して生産方法が水電解や原子力利用、電化に関しては化石燃料の二酸化炭素回収など今後の不安要素が多く残ります。さらに、アンモニア利用、水素利用、蓄電池モーターで現在の内燃機関(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)に匹敵するような重量対出力が得られるかどうかは疑問です。加えて、鉄生産の還元剤として石炭から水素利用など生産設備の入れ替え等が現実的か、バイオマス利用の食料との競合など困難事象があります。2050年までの二酸化炭素排出ゼロは本当に可能でしょうか?これらの計画をごり押しして高すぎる目標の実現が不能であれば投入した金が焦げ付くことを意味します。特に、社会インフラをこの計画通りに進めてしまえば後戻りがきかず不良資産となってしまい経済的にも打撃を受けます。当方は、これらのことから2050年温暖化ガス排出ゼロに対する計画には反対です。![]()
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