終戦の日を明日に控えて、大東亜戦争関連の本を一つ紹介したいと思います。
この本は陸軍が米英への戦争を勝算があって始めたことを陸軍省戦争経済研究班の作成した資料を基に説明しています。
まず、注目するのが経済の戦争動員へのタイムラグです。米国では戦時体制に移行して生産力が最高度に達するのに時間を要すため1年半から2年程度は東アジアで米国に対して優位となる見込みでした。
次に、英国に補給をするため米国を主とした大西洋、そして原料を輸入するためのインド、中東、オーストラリアからのインド洋での船腹の重要性が上がっています。さらには、国民党を裏から支援していた援蒋ルート、後にはエル・アラメインの戦いやスターリングラード攻防戦の補給路もインド洋を通ります。そこで日本は東南アジアを勢力下においた後インド洋に進出して英国の補給路を断つことが可能だったのではないかとの話になっています。ちなみに、大西洋ではドイツの潜水艦(
Uボート)が、戦争中盤までは通商破壊戦を有効に進めておりました。
英国のインド洋の補給路を絶ったところで、講和に持ち込み確立された広域圏(大東亜共栄圏)よりの資源を基に長期的には米国に十分対抗しうる経済抗戦力を持つことが可能としています。
それがなぜうまくゆかなかったのかは、皆さんもお気づきの通り、真珠湾攻撃が米国での戦時体制移行を助け、ミッドウェー海戦とガダルカナル島への航空基地の設営というインド洋に向かう作戦を無視したのは海軍の山本五十六連合艦隊司令長官ではなかったのかとの考えです。著者は山本長官が米国に取り込まれていたのではとの疑念まで持たれていますが、当方は陸軍と海軍の対立が激しかったためにこの様な齟齬が生まれたのだと思います。陸軍の言うことを聞くことには海軍のプライドが許さなかったのでしょう。
さて、その他にも、大東亜戦争が自存自衛の戦いだったこと、アジア諸国の独立を助けるための戦争を行ったことを述べています。
最後に、本書は一次資料を基に米英に対して勝算があったものと結論づけています。これに反して、陸軍が全く勝算のない戦いを米英に対していどんだと言うレッテルは「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画)」により張られたものだとしています。しかしながら、当方には、いくら米国が孤立主義をとっていたからと言っても例えば原子爆弾まで作っていたのですから短期講和に持ち込んだとしても経済抗戦力だけで長期的な勝負がつくものと思えません。
数式や用語など難解な部分があり当方も全てを理解しているわけではありませんが、詳細は、ぜひ本書を手にとってはと思います。
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