フォト
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2025年10月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ

最近のトラックバック

にほんブログ村

  • にほんブログ村

« 「国防の常識」鍛冶俊樹 著 (角川oneテーマ21)を読んで | トップページ | デジダイザペン付きタブレットのSONY VAIO Duo11をついに購入 »

2013年2月 9日 (土)

「日本人としてこれだけは知っておきたいこと」 中西輝政 著 (PHP新書)を読んで

 2006年の本であるのでちょっと古い感じもするのですが当方にとって目から鱗の内容で、非常に重要と感じたので取り上げてみました。ただし、この本について注意しなくてはならないのは事実だけではなく仮定の話や著者の感想が入った少しばかり大げさな表現があることです。
 大雑把な内容は日本の占領軍(GHQ)が日本人からの宗教、歴史的な概念を奪い、それに追従した旧ソ連や中国の差し金であろう左翼のインテリ、ジャーナリスト、政治家がいたことがさらに日本の歴史観を歪めてしまったことです。
 まず、日本への占領政策ですが、p23

アメリカによる初期の対日占領政策は、終戦時に国務、陸軍、海軍三省合同で作成した文書『日本降伏後における米国の初期の対日方針』に明らかですが、それは一言でいえば、日本が再び「米国の脅威」にならないよう、徹底的に日本という国の弱体化を図ることにありました。このことは、確たる文書資料にはっきりと書かれているから、間違いのないところです。

としています。当方思うに占領軍はガムやチョコレートをくれたり、食料の窮乏時に小麦粉や脱脂粉乳をくれた好意的な軍隊であったわけではなくやはり日本に対峙したものだったことを認識すべきだと思うのです。
 そして、日本弱体化の要は「非軍事化」や「民主化」ではなくp24

日本人を精神的に弱体化させること、すなわち、日本人から歴史とアイデンティティを奪うことにあったのです。

としています。その理由として、p24

末期の神風特攻隊と沖縄決戦、硫黄島決戦は、アメリカ人に甚大なショックを与えました。それらの戦場で日本兵や日本人が示した驚異の自己犠牲精神、アメリカはこれを一番恐れたわけです。

を上げています。神風や沖縄、硫黄島がただの捨て石以上の役割をしていたと当方も信じるところです。
 その弱体化政策の一つとして、『神道指令』(『国家神道、神社神道に対する政府の保証・支援・保全・監督ならびに弘布の廃止に関する件』指令)が上げられています。それは、憲法の政教分離の原則に繋がり、一種の「神道弾圧政策」だったとしています。
 さらに、p26

『神道指令』をさらに徹底させるために、占領軍は、翌昭和二一年元旦に昭和天皇に迫って、いわゆる「天皇の人間宣言」というもの――これは左派の歴史家が勝手にネーミングしたもので詔勅にはそんな語句は使われておらず、正しくは「新日本建設ニ間スル詔書」と称されています――を出させました。・・・中略・・・ただし、この詔書は一読すれば明らかですが、少なくとも昭和天皇のお考えとしては、なにより「五ヶ条の御誓文」をあらためて国民に示し、日本には独自の民主主義の伝統がある、ということを思い出させ、日本国民の生きる道を指し示すことに主眼が置かれたものだったのです。

ここでは昭和天皇のお考えが「天皇人間宣言」にはなく、更に、この「天皇人間宣言」は詔書を左派が勝手に命名した悪意のあるモノであることが分かりそう言う意味でも気をつけなければならないと感じてしまいました。とは言えこの詔書を全文読んだことはないのですが。
 次に、“戦後の嘘”として“「憲法九条が平和を守った」という嘘”の中でp41

第一に、日本国憲法九条の様な条文を持っている国は、日本以外、世界のどこにもなかったにもかかわらず、第二次世界大戦後は世界全体が――局地的な戦争はあったものの――まがりなりにも世界大戦を回避し、ともかく平和を維持してきたという事実があります。つまり「平和憲法」と戦後の平和とは何の関係もなく、世界中の大部分の国は日本同様、平和を維持してきたのです。

としており、大局的に見て日本の憲法が平和を守ったわけではないことを示しています。そしてこれは、p42

特殊な宣伝をする目的――中国、ソ連などがアメリカに圧迫されて不利にならないようにという、社会主義支持の目的――から、こじつけて並べただけの、いわば詐欺的言辞だったということが、はっきりします。

ここでも、占領軍の日本弱体化政策のあとで左翼の宣伝工作があったことを示しているようです。
 そして、“「戦後の民主化が高度成長を促した」という嘘”のなかでp47

社会の「民主化」や「軍事費削減」が経済成長の必須要因だとしたら、韓国や台湾、ASEAN諸国の経済成長や、まして現在の中国の経済成長をどう説明したらいいのでしょうか。

と、他事例を挙げて「民主化」や「軍事費削減」が高度成長を進めたとの説を否定しています。日本がいち早く高度成長をとげた理由として、p48

日本の場合、西側陣営に属して大変有利な輸出市場を持った。ともかくこれが決定的に大きかったわけです。

また、

それから、内需拡大の話をすれば、初めて高度な消費文明に触れた民族というのは爆発的な「生産=消費のエネルギー」を発揮する、という現代文明の構図を見る必要があります。

があげられています。
 そして、これらの出発点である占領軍に対してはp53

戦後日本を形作った最大勢力であるGHQ、占領軍こそが戦後社会主義思想の温床だったのです。”としてp54に“一九二〇~三〇年代のアメリカでは、左派勢力を結集したおおきな「アメリカ共産党」が結成され、多くの知識人が入党したりシンパになったりしました。・・・中略・・・しかし、アメリカは民主主義国ですから、共産党に対しては、厳しい取り締りをしました。・・・中略・・・その残党が、(おそらくモスクワの指令を受けて)GHQに潜り込んで大量に焼け野原の東京に乗り込んできた。・・・中略・・・社会主義を日本で実現して、その成果を「アメリカ革命」につなげよう、という目論見だったのです。日本の「近代化」「民主化」というのは、実は、その隠れ蓑にすぎなかった。

と占領軍自体が社会主義的な色合いの強いものであったことを推論しています。
 ここまで、“第一章 歪められた自画像”を見てきましたが、このあと、“第二章 あの戦争をどう見るべきか”、“第三章 日本人にとっての天皇”、“第四章 日本文明とは何か”と続いて行き何れも重要で興味あるところです。このため、本の全てを紹介したいところですが、それでは引用を逸脱してしまいますので、最後に私の最も印象深いところを示したいと思います。p188

アメリカ大統領やロシア大統領の就任式を思い浮かべてください。あちらも選挙で決着がついているのですから、いきなり就任演説に入ってもよさそうなものです。でも、違います。いずれも、聖書もしくは聖職者が関与します。アメリカですと、最高裁判所長官が聖書を持って出てきます。そして、大統領は、その聖書の上に手を置き、反対の手を民衆の方にかざして宣誓します。ロシアの場合は、ロシア正教の大主教が出てきて、儀式の香を振りかけ、ロシア正教会の祝福のお祈りの中で大統領の就任儀式を執り行います。

何とも占領軍の押しつけ憲法なのに当のアメリカ本国では政教分離がなされていないことが分かりショックを受けてしまいました。
 さて、何度も繰り返しになりますが、歪んだ占領政策とその政策による歪んだ憲法とこれを墨守する左派勢力は日本を誤った方向に向かわせようとする圧力となっています。この本を読んでこの圧力を認識すれば、自ずと日本は開けてくるものと思うのです。
Photo

« 「国防の常識」鍛冶俊樹 著 (角川oneテーマ21)を読んで | トップページ | デジダイザペン付きタブレットのSONY VAIO Duo11をついに購入 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 「国防の常識」鍛冶俊樹 著 (角川oneテーマ21)を読んで | トップページ | デジダイザペン付きタブレットのSONY VAIO Duo11をついに購入 »